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TATE

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忘れ物トラッカーの追跡はどう成立するのか|通知が出る条件

AirTagなどの忘れ物トラッカーは自分では位置を測っていません。すれ違った他人のスマホが位置を運ぶ仕組みと、通知が出る条件・出ない条件を各社の公式資料から整理します。

一人で抱えないでください。

この記事を、監視されている可能性のある端末で読まないでください。安全な端末や公共の端末からご覧ください。

結論から: トラッカーは自分では位置を測っていない

AirTagのような忘れ物トラッカーには、GPSも携帯回線も入っていません。ボタン電池とBluetoothの電波、そしてスピーカーが入っているだけです。ではなぜ、鞄に入れて出かけた先の地図に印が立つのか。位置を運んでいるのは、そのタグとすれ違った「他人のスマートフォン」だからです。

タグは短い電波を出し続けます。近くを通りかかった対応スマートフォンが、その電波を拾い、自分がいる場所の座標を暗号化してサーバへ送ります。持ち主は、その暗号化された位置情報を受け取って復号します。つまり追跡が成立するには、タグと持ち主のあいだに「たまたま通りかかった第三者の端末」という中継が要ります。人通りのない場所では更新は止まりますし、リアルタイムの動画のように連続して追えるものでもありません。

そして、この仕組みには最初から**「持ち主から離れたタグが、別の誰かと一緒に動き続けている」状態を検知して、その人に知らせる**機能が組み込まれています。iPhoneにもAndroidにも入っています。ただし、通知が出る条件と、出ない条件の両方があることが重要です。以下、経路と条件を各社の公式資料で1つずつ確認していきます。

この記事で当編集部が確認したこと・確認していないこと

TATEは、確かめていないことを確かめたように書きません。この記事の3分類は次のとおりです。

分類内容
確認済み(文献)Apple・Google・警察庁・内閣府男女共同参画局が公開している資料の記載内容。すべて2026年8月7日に各公式ページで確認し、本文中に出典URLを併記しています
未検証(実機)通知が実際に出るまでの時間電池を抜いたときの挙動通知設定をオフにしている端末の挙動手動スキャンで実際に見つかるかどうか。当編集部はこの記事の公開時点で実機による測定を行っていません
検証不能各社が通知を出す判定のしきい値(何分・何メートル・何回の観測で「一緒に移動している」と判定するか)は公開されていません。Appleのサーバ側の実装も外部からは確認できません。AirTagが音を鳴らすまでの正確な時間も、Appleの現行サポートページには数値として書かれていません

**この記事に「◯時間で通知が出ました」という数値は出てきません。**測っていないからです。測定を行う計画は記事末尾に置きました。数値が出せるようになった時点で、この記事を更新します。

位置情報はどこを通って持ち主に届くのか

Appleのプラットフォームセキュリティ文書「『探す』のセキュリティ」は、この経路を次のように説明しています。タグは**「導出された公開鍵Piのブロードキャストを Bluetooth ペイロード内で定期的に行い」、その公開鍵は約15分ごとに新しいものに置き換えられます**。近くを通った端末は**「その位置情報を公開鍵で暗号化することで」参加します。そして「デバイスの所有者は暗号化された位置情報のみを受信します。この情報は復号されて『探す』アプリに表示されます」**(出典: Apple「『探す』のセキュリティ」https://support.apple.com/ja-jp/guide/security/sec6cbc80fd0/web 、2026-08-07確認)。

同文書は、位置情報を送った側についても**「探知側からAppleに送信されるトラフィックには、コンテンツにもヘッダにも認証情報が含まれません」**と記載しています(同上)。

図にすると、こうなります。

忘れ物トラッカーの位置情報が持ち主に届くまでの経路 タグがBluetoothで公開鍵を発信し、通りかかった第三者の端末がその端末自身の位置を暗号化してサーバへ送り、持ち主だけが復号して地図上で見る、という4段階の経路を示した図。 ①タグ 公開鍵をBluetoothで発信 (約15分ごとに更新) ②通りかかった他人の端末 自分の位置を公開鍵で暗号化 して送信 ③サーバ 暗号化されたまま保管 中身は読めない ④持ち主 復号して地図に表示 この端末の持ち主には、何も表示されません (自分の端末が中継したことに気づきません) ②が近くを通らなければ、④の地図は更新されません

ここから、起きていないこともはっきりします。

「一緒に移動している」と判定されると、自分の端末に何が起きるのか

AppleとGoogleは、この検知を業界仕様として共通化しました。仕様の名前は**「Detecting Unwanted Location Trackers(不要な位置情報トラッカーの検出)」で、Apple側はiOS 17.5から、Google側はAndroid 6.0以降**で対応しています。Appleの発表には、Chipolo社、eufy社、Jio社、Motorola社、Pebblebee社を含むBluetoothタグのメーカーが今後のタグで対応することを約束している、と記載されています。警告メッセージは「[追跡アイテム]はあなたと一緒に移動しています」という形式です(出典: Apple「AppleとGoogle、iOSとAndroidで不要な追跡の警告に関するサポートを提供」https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/05/apple-and-google-deliver-support-for-unwanted-tracking-alerts-in-ios-and-android/ 、2026-08-07確認)。

iPhoneの場合

Appleの個人の安全確保ガイドは、iOS 14.5以降でAirTagなどの「探す」対応アクセサリ向けに迷惑な追跡の通知が提供され、iOS 17.5以降では不明なBluetoothトラッキングデバイスにも対応した、と説明しています。通知を受け取るには、次の設定がすべて有効である必要があります(出典: Apple「AirTagなどの『探す』対応アクセサリで安全を保つ」https://support.apple.com/ja-jp/guide/personal-safety/ips139b15fd9/web 、2026-08-07確認)。

  1. 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」で位置情報をオン
  2. 「位置情報サービス」>「システムサービス」で「iPhoneを探す」をオン
  3. 「設定」>「Bluetooth」でBluetoothをオン
  4. 「設定」>「通知」で「トラッキング通知」を許可
  5. 機内モードをオフ

同ガイドは、AirTagの音についても**「所有者の手元から離れてしばらく経つと、近くにいる人に知らせるため、動いた時点で音が鳴ります」と書いています。ここで注意してほしいのは、「しばらく」が何時間なのかを、Appleは現行のこのページに数値として書いていない**ことです。他所で見かける「◯時間で鳴る」という数字を、当編集部はこの記事で採用しません。裏づけを持っていないからです。

見つけた持ち物をiPhoneの背面に近づける(NFCで読み取る)と、**「シリアル番号またはデバイスID」「持ち物を登録した人の電話番号の下4桁、または伏せ字の入ったメールアドレス」**が表示されます(同上)。

Androidの場合

Googleのヘルプは、対象を**「Find Hub ネットワークに対応するタグ、ヘッドフォン、Apple AirTag」とし、「この機能は Android 6 以降を搭載したデバイスでのみご利用いただけます」「あなたと一緒に移動している不明なトラッカーに関する自動トラッカー アラートを受け取るには、位置情報をオンにしてください」と記載しています。自動通知を待たずに調べる手動スキャンもあり、「設定」アプリ →「安全性と緊急情報」→「不明なトラッカーのアラート」→「スキャン開始」の順で実行できます。「手動スキャンには 10 秒ほどかかります」**(出典: Google「不明なトラッカーを検出する」Android ヘルプ https://support.google.com/android/answer/13658562?hl=ja 、2026-08-07確認)。

イヤホンなど、忘れ物タグ以外の機器も対象に含まれている点は、見落とされやすいところです。

通知が出ない条件は何か

「通知が来ていないから何も仕掛けられていない」とは言えません。同時に、「通知が来ないのは細工されているからだ」とも言えません。出ない条件が、公式に列挙されているからです。

Googleのヘルプは、通知が表示されない状況として次の3つを挙げています(出典: 同上、2026-08-07確認)。

さらにAndroidには、**「スマートフォンの位置情報の更新は一時停止できます(最長 24 時間)」**という機能があります。これは自分のタグで通知が繰り返し出るときのための機能ですが、一時停止中は通知が抑制されるという意味でもあります。

iPhone側は、前節の5つの設定のうちどれかが無効なら通知の前提が崩れます。位置情報サービスをオフにしている、Bluetoothを切っている、通知を許可していない、機内モードにしている——いずれの場合も、検知の材料が端末に入ってきません。

そして、どちらのOSでも、業界仕様に対応していないトラッカーは検知の対象になりません。 Appleの発表は今後の対応を約束したメーカーを列挙していますが、それは裏を返せば、対応していない製品が存在するということです。

まとめると、通知は「持ち主から離れたタグが自分と一緒に動いている状態が続いていること」を材料にした推定であって、悪意の有無を判定するものではありません。通知が出たときも、同乗者の忘れ物や、家族が持っているタグといった説明がつく場合があります。逆に、通知が出ていないことは、タグが無いことの裏づけにはなりません。出た通知は端末が観測した事実にもとづく/出ていないことは何の証明にもならない——この非対称を頭に入れておくと、不安の置きどころが変わります。

相手(持ち主)の画面には、何が表示され、何が表示されないのか

親密圏の監視で最も知りたいのは、たいてい「こちらが気づいたことが、相手に伝わるのか」です。公開資料で確認できる範囲を対照にします。

こちらの行動持ち主の画面に表示されるか出典
タグの音を鳴らした**通知されません。**Googleは「音を鳴らしても、所有者に通知されることはありません」と明記Google「不明なトラッカーを検出する」(2026-08-07確認)
タグの詳細を見た・シリアル番号を確認した公開資料に「持ち主に通知される」という記載はありません(=当編集部として「通知されない」と断定はしません。記載がない、という事実だけを書きます)同上/Apple 個人の安全確保ガイド
タグを無効にした(位置情報の共有を停止した)**位置の更新が止まります。**Appleは「持ち主は現在の位置情報に関するアップデートを取得できなくなります」、Googleは「デバイスをオフにすると、所有者はトラッカーから今後の位置情報の更新を受信できなくなります」と記載同上
中継した第三者の端末中継した本人にも持ち主にも、誰の端末が中継したかは表示されませんApple「『探す』のセキュリティ」

ここがこの記事で一番強く伝えたい注意です。**設定を変えること自体が、相手側から見て変化として現れる場合があります。**タグを無効にすれば地図の更新は止まります。止まったこと自体が、相手にとっては「気づかれた」というサインになり得ます。DVやストーカーの文脈では、この変化が状況を悪化させることがあります。**だからこの記事は「相手に知られないまま追跡を止める方法」を書きません。**そういう手順は、相手の反応を予測できる立場の人にしか安全に使えず、記事を読んでいるあなたがその立場にあるかどうかを、私たちは知らないからです。

見つけたとき、最初にすることは「電池を抜く」ではありません

身に覚えのないタグが見つかったとき、反射的に電池を抜きたくなります。それは自然な反応です。ただ、順番を変えたほうがよい場面があります。

1. 記録を残す。 Googleのヘルプは、**「シリアル番号や所有者の情報のスクリーンショットを撮っておくことをおすすめします」**と書いています(2026-08-07確認)。通知の画面、地図、タグの現物の写真、見つけた日時と場所。これらは後で相談するときの材料になります。電池を抜くと位置の記録は止まりますが、それまでの記録が消えるわけではありません。とはいえ、現物と画面を先に撮っておくほうが、あとで説明しやすくなります。

2. 相談する。 Appleの個人の安全確保ガイドは複数箇所で**「身の危険を感じる場合は、現地の法執行機関(警察)にご相談ください」と案内しています。Googleも「見つかったトラッカーを詳しく調査する必要がある場合は、地域の警察署にご相談ください」と書いています(いずれも2026-08-07確認)。緊急の危険があるときは110番、緊急でない相談は警察相談専用電話 #9110**、配偶者やパートナーからの暴力が背景にある場合はDV相談ナビ #8008です。

3. そのうえで、無効にするかどうかを決める。 無効化の手順はAppleとGoogleの両方が公開していますし、実行すれば位置の共有は止まります。ただし前節のとおり、止まったこと自体が相手に伝わり得ます。**先に相談したうえで、いつ止めるかを決めたほうがよい場面があります。**この判断を、記事の側で一律に決めることはできません。

この記事は「証拠を消す」ことも、「隠れる手順」も書きません。書けることは、仕組みと、公式に確認できる条件と、相談先までです。

法律はどうなっているのか

日本では2025年(令和7年)12月に、ストーカー規制法が改正されました。警察庁は、「令和7年12月10日にストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律が公布されました」とし、「令和7年12月30日から」の施行内容として「紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等を規制対象行為に追加」したことを挙げています。背景として、「元交際相手等の自動車等に紛失防止タグをひそかに取り付け、その位置情報を取得する事案がみられる」と記載されています。加えて、「令和8年3月10日から」、警察本部長等がストーカー行為等の相手方に係る情報の提供を行わないよう求めることができる制度が施行されています(出典: 警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/kaisei/index.html 、2026-08-07確認)。

つまり、忘れ物タグを使って相手の承諾なく位置情報を取得する行為は、法律が名指しで規制対象にしている行為です。もしあなたが今そういう状況にあるなら、それはあなたの落ち度ではありません。責任は仕掛けた側にあります。

同じ理由で、この記事は「追跡する側」の手順を一切書きません。「相手の車にタグを付けたら気づかれるか」「どう置けば通知が出にくいか」といった問いには答えません。TATEは、される側にだけ立ちます。

この記事でまだ測っていないこと(検証計画)

冒頭で書いたとおり、この記事の公開時点で当編集部は実機による測定を行っていません。以下は**測定の計画であり、結果ではありません。**すべての欄が埋まった時点で、この記事を更新し、更新日を書き換えます。

項目現状
測定日時未実施
測定場所未実施(実施時は都道府県と回線種別を記載)
機材未実施(実施時は端末型番・OSバージョン・タグの製品名とファームウェアバージョンを記載)
回線条件未実施
測定方法未実施(自分が所有するタグを、自分の所持品に入れて持ち歩き、自分の端末に通知が出るまでの経過時間を記録する方法を予定)
測定回数未実施(実施時は時間帯を分けて3回以上。集計は中央値を用いる)
生データ未実施(通知画面のスクリーンショットと時刻を保存する予定)
検証者未実施(実施時は担当者名を記載)
未検証項目通知が出るまでの時間/電池を抜いたときの挙動/通知設定をオフにした端末の挙動/手動スキャンの検出可否/業界仕様に非対応のトラッカーの扱い

測定を行う場合、**対象は当編集部が所有する端末と、当編集部が購入したタグ、当編集部自身の持ち物に限ります。**他人の端末や他人の持ち物を対象にした測定は行いませんし、その手順も書きません。測定を実施した際は、使用した機材と回線条件をこの記事に併記します。

よくある誤解の整理

次に読むと、切り分けが進む記事

「なぜ居場所が知られているのか分からない」という段階なら、タグ以外の経路も含めて洗い出したほうが早いことがあります。位置共有・アプリの権限・写真の位置情報・SNSの位置タグまで経路ごとに分ける記事を用意しています位置情報が「バレてる」のはなぜか — 端末から相手に届く経路を全部並べる

すでに通知を見てしまってこのページに来た方は、その通知が何を根拠に出たのかを先に理解しておくと落ち着きます「追跡されていることを検知しました」— あの通知は何を検知したのか

タグではなく「自分の位置情報が今どこに共有されているか」を確認したい場合は、iPhoneとAndroidそれぞれの設定画面を順に開く手順をまとめていますiPhone・Androidで「今、誰に位置情報が共有されているか」を確認する手順


出典一覧(すべて2026年8月7日確認)

免責

本記事の内容は、記載の確認日時点で当編集部が確認できた情報にもとづいています。仕様・画面・提供条件は、事業者の判断により予告なく変更されることがあります。ご利用の前に、事業者の公式ページで最新の情報をご確認ください。

本記事は情報提供であり、個別の状況に対する助言ではありません。また、法的な助言を行うものでもありません。被害が生じている、または生じるおそれがある場合は、下記の窓口へご相談ください。

本記事に実機による測定値は含まれていません。測定を実施していない項目は、記事内で「未検証」または「検証不能」と記載しています。